UX KANSAI vol.9 ストーリーボーディングとprott
1/15(日)は、2017年一発目の UX KANSAI。
プロトタイプ、、、、ではなくプロトタイピング(※)の手法のひとつ「ストーリーボーディング」が今回のテーマ。
(※)忘れがちなのでメモ
- 「プロトタイプ」とは、スケッチ・観察のこと。具体的な手法は、ワイヤーフレーム(ストーリーボード)、モックアップ。
- 「プロトタイピング」とは、評価のこと。具体的な手法は、思考発話方、オズの魔法使い、ストーリーボーディング。
ちなみに、それぞれの「プロトタイピング」から得られる評価は以下の通り。
試作を評価をする手法で有効的なのが「アクティングアウト」。いわゆる“寸劇”。
実際に試作が使われている状況をシミュレーションすることで、机上では分からなかった課題を発見する。
でも、残念ながら企業は「アクティングアウト」の採用には消極的で、プロトタイピングが有効に活用されていないことが最近表出しているとか。
でもね、あるみたいですよ。解決の方法。
- ストーリーボーディング(ウォークスルー法)
- 体験プロトタイピング
- 体験ムービー
今回は、その中の「ストーリーボーディング(ウォークスルー法)」を習得する会というわけです。
ストーリーボーディングの作成
いざ。
A4サイズの用紙の最上部にタスクを記入し、その下にユーザーの振る舞いを写真かイラスト・最下部にアクティビティシナリオ(粒度細かく)で表現する。
で、何枚か書いたうちの1つがこちら。
、、、って、改めて見返すと、思うところがいろいろ。行動の文脈を知るのが目的なのに、そもそも粒度が粗いな。。。とか(汗)。
体験と操作
ウォークスルー評価の準備。壁にストーリーボードとワイヤーフレームを貼る。
- ストーリーボードは「ユーザーの体験」(アクティビティ)。
- 対して、具体的なワイヤーフレームは「ユーザーの操作」(インタラクション)。
アクティビティは普遍的なもの。時代が移っても変わらない人間の欲求(食べたいとか)。
インタラクションはその逆で、特殊なもの。時代と共に変わるデバイスやソフト。
アイデアを考える際、後者起点になると本質を捉えないペラいものになる。というのは、これまでのワークショップで口酸っぱく言われてきた話し。
ウォークスルー評価
これはおもしろかった。被験者(ペルソナの類型)にストーリーボードを読みながらワイヤーフレームのインタフェースを操作してもらう。プラス、操作時に思ったことを発話してもらう(思考発話法)。
それを観察し、被験者がエラーを起こした箇所や逡巡した箇所にふせんを貼り、明示的にする。
被験者は3名。実際にワイヤーフレームを触ってもらいながらブツブツつぶやいてもらうのだけれど、共通して「?」となる箇所もいくつか。ユーザーが迷うポイントがどんどん炙り出される。
以下、実際にいただいたつぶやきの中からいくつかピックアップ
- 「おぉ、いきなりこの画面?性急すぎるな、、」
- 「(数秒沈黙)あぁ、これ地図か」
- 「ん?詳細知るには、、、このボタンか」
- 「日程いちいち選ぶのめんどい」
- 「移動時間とか分からんし不安やな。。。」etc
日々の業務でも、検討しているプロトやワイヤーフレーム対して「実際にユーザーが使えるか。。。」と言う視点でチェックはしているのだけれど、最終ジャッジはプロジェクトマネージャーの主観に寄りがち。
結果的にそのジャッジが一番良いジャッジになるので問題にはならないけれど、新しい課題解決のための機能など、自身(やチーム)に知見のない領域のものをつくる際には、ウォークスルー評価ってむちゃくちゃ効果ありそうだなと。
ブレスト→UIの修正→遷移図の作成→prottへの移植
上記で出た材料を基に UIを修正。続いて全体像を網羅するため遷移図を作成。最後にprottに取り込み、ワイヤーフレームが遷移図通りに一通り操作できるようにする。
先生曰く、ストーリーボーディングやprottのメリットは「推敲」できること。いったんかたちにして1週間くらい眺めてると、問題点がどんどん出てくるとか。
企業ではホワイトボードが使われるけれど、それだと成果物が消されてしまうので「推敲」が不十分になってしまうと。
講義内容はここまで。次回は成果物を実際に外で使ってみて、意図通りに使われるをチェックする「サービスサファリ」
制約は自分の中にある
ここからはセミナーの中で「!」と感じたこと。
先生から前回「リフレーミングが足りない」というご指摘をいただきましたが、同じような話し。
プロジェクトの目標は「しまなみリーディングの次のビジネスを生み出す」ですが、どうもみんな現状に縛られていると。
「観光」とか「自転車」とか言ってる時点でアウトだよねというご指摘(涙)。
別の場所で、同じテーマのワークショップをされていて、実際に出てきたビジネスモデルを共有いただいたのだけど、「ぐむぅ・・・」とぐぅの音も出ない。
ビジネスモデル自体は詳細に聞けてないのだけれど、そもそも前提条件が「観光」や「自転車」ではなく、現有リソースの運用(「活用」ではなく)と将来に向けたリソースの確保というもの。ぐむむ。。。
ビジネスに制約はない。制約は自分で設けている(「観光」とか「自転車」とか)。とは、先生のお言葉。
センス
今回ストーリーボードを作成にあたって、うまく言えないのだけれど「これ、何のための作業だ?」って違和感がずっとあった。
作成する目的は教えてもらったのでおかしな話だけれど、もやもやした違和感が払拭できないまま作業。
「既知の事実を紙に起こしているだけのような。。。あまり発見もないし。。。あぁ、そうか。全員が共通認識をもつための摺り合わせの意味が大きいのだな。」と言い聞かせ(?)作業を進めていたけれど、先生のツッコミでモヤモヤが晴れることに。
「ストーリーボードはお金を生み出すシーンを書かなきゃね」と。
あ~!確かに!!!ビジネスを考えるのは大事って言われてたのに、そうじゃないシーン作ってた!てか、先に言ってよ!先生(涙)!!!!
、、、と思ってたけど、「そういうシーンを作るのがセンスだよね」の一言に、またまたぐぅの音も出ない。
ユーザーはもちろん、サービスに携わる全ての人に共通する小さなルールがある。それがインサイト。それを見つけ出すのが肝。
以前、インバウンドのサービスについてのワークショップの中で、すごい時間をかけてたった一つのインサイトを見つけたとのこと。
それは、、、「外国人観光客は●●●が●●●ところに●●●●」。
なるほど~!(興味のある方は UX KANSAIに参加しよ~(笑))
ワークショップは「型」を覚える
以前言われた「ワークショップは質を問わない」と同じようなこと。
私たちのチームは(前回同様)「そもそもこのビジネスモデルでいけるのか?」で冒頭30分ほど足を止めてしまい、100%今回のワークショップに集中できなかった。
そもそも論に立ち戻るのは重要だけれど、ワークショップの目的が「型を覚える」ことだとすれば、それはそれで割り切って「型の習得」に集中すべきだったな。反省。
“集合知”の難しさ
前出のことにも繋がるのだけれど、チームでの検討って中々思うように進めない。
全員が常にMTGに参加して摺り合わせをして、個別で検討を深めて、持ち寄ってまた摺り合わせをして、、、ということができればいいのだけれど、それは現実的ではない。
この状況は日々の業務でも起こることで、大事なのは「そんなもの」と割り切ったうえで、どう工夫でき得るかを考えることなんだろうな。
仕事でも何でも、一人でできることなんてない。チーム各人がどうやって各人の個性や能力を最大化できるか。そういったチームビルディング的なことの知見の必要性もひしひしと感じました。
次回でいよいよ1年通したワークショップも最終回。でも、他イベントとバッティングしてて参加できない可能性大!体が二つあったらいいのに(涙)