keita_shimabの日記

京都在住Webディレクターのイベント参加メモや読書メモなど。

森本千賀子さん講演会(京都紅葉の宴2018)

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紅葉が見頃の連休中日。交流会&講演会に参加するため Impact Hub Kyoto へ。

二人のスピーカー。一人めは、HR業界では知らない人はいない森本千賀子さん。二人めは、M&Aのパイオニア・佐山 展生さん。

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登壇者も参加者も笑顔

 

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連休中日のイベントでしたが約60名の方々が集まりました。

パワフルなお話しに、たくさんの元気と気付きをいただきました。
忘れてしまうのももったいないので、備忘としてブログを残します。

まずは森本さんのお話から。

 

森本千賀子さん「プロフェッショナル~仕事の流儀~」

森本さんのキャリアヒストリーのトレースと、その中で見出した「キャリア」の意味と戦略について。
ざっくりとは、キャリアとは人生そのものであり、それは戦略的に高められるというお話しでした。

 

森本さんのお仕事

HR関連の事業を中心に、コンサルティング事業やビジネスリーダーの育成支援、地方創生、婚活サポート(人と人とのマッチング)など幅広い領域で活躍されている方。

morich.jp

 

キャリアヒストリー

就職活動(とある本との出会い)
就職活動中、大学の図書館で『スカウト』という本に出会います。
アメリカでは転職を繰り返し自分のキャリアは自分でデザインしているというもの。
当日、日本は「終身雇用」「年功序列」に代表される雇用システムで、転職=ネガティブなものだった。
しかし、この本を読んだ森本さんは、今後日本も同じような状況になると考え、HR業界に就職することに。

 

HR業界での活躍
リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。現場で実績を積み成果を上げ続け、やがて管理職に。部下は数百名と大所帯。

 

長男の誕生
旦那様の強力なサポートにより、家事と育児を両立。初の子育てながらもマネジメント業務に従事できる環境は変わらず、「これが天職だ」とまで思えるほどやりがいに溢れる日々を送ります。

 

次男の誕生
ところが、次男誕生のタイミングで旦那様が転勤族に。実家は遠く離れているため家事のサポートが受けられず、泣く泣くマネジメントから身を引き、現場に戻ることを決意(現場は自己完結しやすく、家事との両立がしやすいため)。

 

社外活動へのシフト
ところが、現場業務では何か満たされない状態が続き、マネジメント時代に抱いていた情熱を持て余してしまうことに。
この情熱の矛先をどこに向けようか...という中でライフワークとして社外活動にシフトしていきます。

社外活動では人と人を繋げる取り組みが多く、例えば小・中・高校生&大学生へのキャリア支援。リクルートで多くの転職希望者と出会う中で「もう少し早くキャリアについて考えてくれていれば...」と思う場面もあり、社会人になってからではなく、早めに自身のキャリアを考えてほしいという想いもあったそうです。

 

「働くこと」に対する世の中の変化
その頃、HR業界にも変化の兆しが見え始めます。2011年3月11日の東日本大震災。これをきっかけに、「働く」ということが地位やステータス、報酬のためのものではなく、やりがいや求められる場所で働きたいと思う人が増え、「働き方」や「人生」の価値観が変化していきました。

 

独立
「働くこと」の意味性・重要性が高まっていく風潮の中で、森本さんの社外活動はますます活発になり、リクルートに在籍しながら個人事業主になるなど、活動領域やレイヤーがどんどんが変わっていきます。

そして、2017年9月、長年勤めたリクルートを卒業。独立へ。

 

キャリア構築の戦略POINT

旦那様の転勤など、いかんともしがたい環境の変化がある中で、ポジティブにキャリアを構築してきた森本さん。
ご自身の経験や他人のキャリアカウンセリングを通して感じた、「キャリアを築いていくうえで戦略的に意識した方が良いPOINT」もお話いただきました。

 

今ある価値は陳腐化するという事実
大企業でもM&Aや合併、業態転換が当たり前に。いま価値を持つものはいずれ陳腐化することが明白な時代になっている(例えばケータイからスマホスマホから次のデバイスへの移行といった事象)。

 

自己開発の重要性
価値が変わる、価値が「進化」していく流れの中では、自分自身も変化を続け価値を高めていく必要がある。
価値を高めるためにはリスクをとる必要があり、逆にリスクをとらないことがリスクになる。

 

選択肢を持つ=可処分所得の確保
リスクをとるうえで理想なのは選択肢をいくつか持つこと。
選択肢をもつためにマストな条件は「可処分所得の確保」。
例えば、森本さんの下に既婚の男性が転職相談に来た場合、必ず聞くのが奥様が専業主婦かどうか。なぜなら、奥様が専業主婦だった場合、例えば「起業」は提案の選択肢から外さざるを得ない。


総務省「全国消費実態調査」によると、共働き世帯と専業主婦世帯の年間可処分所得は、前者は634万円。後者は439万円。約200万円の差があるというデータも。

 

選択肢を持つためには、働きたいというよりは「働かないといけない」。


「マイノリティ戦略」という価値の高め方
どうせ働かないといけないのであれば、戦略的に価値を高めた方がいい。具体的には、1時間あたりの価値=時給を高めなければいけない。
そこで有効な戦略が「マイノリティ(希少価値)戦略」。競合ひしめくレッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンを目指すべきであると。

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森本さんのキャリアに照らし合わせてみると、新入社員当時は営業をする女性が少なかったので、「営業」ということに希少価値があった。
しかも、転職=ネガティブな時代に、転職のエージェントになり、しかもBtoCではなくBtoBを選択(※BtoCはイメージが付きやすく就職先としても人気があった)。

森本さん自身が、希少価値を追求することで価値をどんどん高めていった。

 

普遍的に価値があるのは「人が介在する必要のある仕事」
少し視点を変えて、「数年後にはAIにほとんどの仕事が奪われる」と真しやかに語られる時代。ここに、普遍的な価値は存在するのか?
答えはイエス

森本さん曰く、「人が介在する必要のある仕事はAIに取って代わられない」。AIは業務を効率化するツールでしかない。
なので、人が介在する仕事を見極めるべきであり、そのために重要(というか条件)なのは人(社内・顧客・社会)との繋がり

 

「夢中」という最大のカード
ただ、人との繋がりよりも重要なものが「夢中になる」ということ。夢中になれることで人とつながれる。
夢中になるにはときめきが大事で、曰く「ワクワク・ウキウキ・ルンルン」になれる、本気になれる場所を持つべきである、と。

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世の中から必要とされるのは「変化対応力」
ここまでは個々人のスタンスやアプローチの話でしたが、一方で客観的に、世の中に求められるスキルについても言及がありました。
(前出の内容と重複する箇所はありますが)必要なスキルは変化対応力
これは昔の賢い人も言っていて、ダーウィン曰く「最も強いものが生き延びるのではなく、最も賢いものが生き延びるのでもない。唯一生き残れるのは変化できるものである」。

 

「変化対応力」を身に付けるための方法論
ではそれを身に付けるためにどうすればいいのか?それは「身の丈より少し上のことにチャレンジする」こと。

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チャレンジには修羅場がセット。修羅場を経験することで、変化対応力・レジリエンスを鍛えることができる。

 

非連続キャリア
そもそもキャリア構築の基本概念として「非連続キャリア」というものがあるそうです。

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これまでの経験の再現ばかり繰り返すと、成長曲線が鈍化する。なので、どんどん環境を変えて“慣れない環境”でキャリアを積み上げることが大切。
組織内でチャレンジできる環境が無いのであれば、パラレルキャリアというかたちでも実現できる。

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パラレルキャリアの副産物
ちなみに、パラレルキャリアを実現すると良いことがあって、メンタル面でのバランスも保たれるようになる。
自己肯定感が得られる場所があることはとても貴重。

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森本さんの考える「キャリア」とは

弟さんの話
そもそも森本さんが「キャリア」ということを突き詰めようとしているのには理由がありました。弟さんの存在です。
弟さんは幼い頃に腎臓の難病を患います。生き延びる確立は10%という難病で、彼のために「何かしてあげたい」と思うようになります(※ちょっと心拍数上がりそうな文脈なので先に書いておくと、弟さんはその10%に入り、ご健在です)。
何かヒントを得ようと、ナイチンゲールといった偉人たちの伝記を読み漁り、彼・彼女たちの共通点に気付きます。それは「他人のために」という利他の精神

これに気付き、日々健康に生活を送れることに感謝しつつ、明日はどうなるか分からないけれど、日々誰かのために最善を尽くす生き方を志向します。

 

祖母の話
森本さんには多くのメンターがいますが、その中のお一人に森本かめさんという方がいらっしゃいます(森本さんのお婆様)。
よく言われたことが「課題に直面したらその裏側を見る。そうるすと意味が分かって、課題を克服すると成長できる」という言葉。
それからは、辛い課題に直面したとしても「神様は自分にどういうことを学べと言っているのだろう?」と考えるようになったそうです。

これにより「正解のある人生なんてない、自分の力で正解にする」「命を使って運命を変える」というマインドになられたそうです(※この話しを聞いて、前出の弟さんの話が、より納得できました)

森本さんの考えるキャリアとは人生そのものであり、自らの力で主体的に掴み取るものである、というお話しでした。

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最後に
森本さんのお話の締めは「行動が大事」というものでした。
今日どれだけ「良い話を聞いた」と思っても、それを実際に行動に移すのはほんのわずかな人たちだけ。
聞いた話も行動に起こさなければ意味はない。
行動を起こす&変化を続ける。日々1%変化することで1年後には今とは全く違った状態になれる。
この1%。1日に換算すると約15分。1日15分でいいので、自分のキャリアについて考える、行動を起こしてほしい。というメッセージでした。

 

まとめ...ない。

森本さんのお話を聞くのは2回目でしたが、以前聞いたお話でも発見があったり、新しいコンテンツが盛り込まれていたり、約1時間の講演があっという間に終わりました。

楽しく、刺激と気付きに溢れる時間でした。