仕事の報酬とは何か~人間成長をめざして~(読書メモ)
社会人になって16年。「何のために仕事をしているのか?」と聞かれると、「自分のことを必要だと思ってもらい続けるため」と答えてる。
自分なりにはフラットな返答だけど、何となくネガティブに受け取れなくもない。
もちょっと整理したいなと思いふと手に取った本の読書メモ。
書によると、仕事の報酬とは、大きくは「目に見えない報酬」。これは「収入」や「役職」といった目に見えるものではない。また、これは決して失われることのない尊い報酬。
具体的には
- 能力
- 仕事
- 成長
この3つのこと。
それぞれの説明は、以下の通り。
「能力」
一生懸命に仕事をすると、職業人としての「能力」が身に付く。
良い仕事を残そうとする努力を通じて、職業人としての「能力」が磨かれる。
「能力」って言葉は、何となく先天的な印象を受けるけれど、技術のように鍛錬で身に付き、磨かれるものという解釈。
このあたりは、「GRIT」に通じるものがあるなと(愚直にやり続けるのが能力。一方で能力のある人を神格化して努力をしないのはクソだ的な)
「仕事」
一生懸命に仕事をすると、良い「仕事」を残すことができる。
職業人としての能力を磨くことによって、優れた「仕事」を残すことができる。
なんとも禅問答のような。。。
「成長」
一生懸命に仕事をすると、人間として「成長」できる。
実感しやすいのは「仕事」なのかな。たとえば去年と今の自分で、どんな仕事が任されているのかが、報酬のものさしになるのかも。
あらためて再整理
上記3つも含め、報酬には2種類ある。
1つめは、「自ら求めて得るべき報酬」(「能力」「仕事」「成長」)
2つめは、「結果として与えられる報酬」(「収入」「役職」)
書曰く、収入や役職といった「結果として与えられる報酬」を自ら求めて得ようとするからオカシくなると。
なるほどなるほど。確かに、結果として与えられるものを欲しがったり、コントロールしにいくアプローチをとるのは、心も体も疲弊しそうだ。
自分でコントロールできる領域。適性に苦労しながら「得よう」とすべき領域。それを見極めることが大切っぽい。
「能力」について、もう少し詳しく
我々は、「腕を磨く」ということそのものに、無条件の「喜び」を感じるからです。
一昔前、我が国の企業には、その喜びがありました。
朝から晩まで一生懸命に働き、残業、残業で仕事をしていると、どんどん自分の能力が高まっていく、という喜びがあった。
そして、職場には、その「目に見えない報酬」を「報酬」として実感させてくれる瞬間があった。何か。上司の一言です。
今はこの「腕を磨く」ということが、自分の商品価値を高めるための手段になっているので、このことが報酬と感じられ辛いのだと。
ある種、ブラック企業臭がしなくもないけれど、心理的に満たされることの重要性については、そうだよなと。
また、能力を磨くのは時間かかるので、これを「自ら求めて」得ようとすると、性急になって逆に能力が磨かれないよ、とも。
確かに。これは個人に対しても言えることだし、企業やマネジメント側に対しても、気付きを与えてくれる指摘だと感じた次第。
このことに関して、刺さった言葉を引用。
一流のプロフェッショナルは、するべき努力を、愚直なほどに、している。
彼らは、決して、「近道」や「広き門」など信じていない。
能力を磨くうえでのコツは?
それは「師匠」を見つけること。師匠を見つけ、「呼吸」(「リズム感」と「バランス感覚」)、「着眼」(経験から反省するための視点のようなもの(と解釈した))、「心得」の3つを学ぶべし。
ばっくりとは、やっぱり自分の中に無いものは他人を頼って身に付ける。その際、自分の中の何に課題意識を持ち、どうアプローチするかを学ぶ。みたいなことかと理解。
ちなみに、師匠を探す際に大切なのは「一芸」という視点。誰もが一芸に秀でているので、周囲は師匠だらけだよって話し。
「仕事」について、もう少し詳しく
我々が、仕事を通じて創り上げ、顧客に提供しているのは、単なる「商品」ではない。それは「作品」である。
どうすれば「作品」を残すことができるのか。
それは、前述した「腕を磨く」だけでは成し得ない。
我々が仕事を通じて残すものは、実は「作品」ではありません。
「共同作品」です。
ひとりじゃできない。周囲と創り上げていくってことですね。
では、その「共同作品」を創り出すためには、何が求められるか。
「共感」です。
ばっくりとは、仕事とは集合知であり、いろいろな人の「知識」や「知恵」を集め、新しい「知識」や「知恵」を生み出すことであると。
そうだよなーと。共感しまくり。
「成長」について、もう少し詳しく
「成長」は、ある意味で「最高の報酬」である、と。
「人間としての成長」とは何か。
それを、一言で述べておきましょう。
「心の世界に処す力」
?(むむ?)
ここで言う「力」には2つあって、1つは「心の世界を感じる力」、1つは「心の世界に働きかける力」。
??(むむむむむ??)
ここで言う「心の世界には」3つあると。
- 自分の心の世界
- 相手の心の世界
- 人間集団の心の世界
さらに。それれらの世界それぞれに「表面意識の世界」と「無意識の世界」がある。
例えば、「腕を磨こう」と努力する。しかし、それなりに努力しているつもりでも、少しも腕が磨かれない時がある。
この時、自分の心の中を見つめると、心の奥深くに「早く手軽に腕を磨きたい」という安易な気持ちがあることに気付く。
この安易な気持ちが、地道な努力を怠らせていることに気付く。
この気付きがあった時に、成長を遂げることができると。
また、自分は腕が上がったという慢心が生まれたり、良き仕事がしたいという想いが自己のエゴに依る「達成願望」から発せられた時(あるいは、本当は自分がコミットしていないビジョンを周囲に語るような時)、相手の共感が得られなかったり、仲間の心に火がつかず、上手くいかない局面に立たされることがある。
こうした、自分・相手・仲間の無意識の世界を感じる力。
仕事で問題に突き当たる時、その悩みや苦しみ、葛藤を通じて、「心の世界を感じる力」を身に付ける。
この力を身に付けた時に実感するのが、仲間の心の世界は、自分の心の世界の「鏡」であるということ。
自分が心を閉ざすならば、必ず、仲間も心を閉ざす。
自分が仲間に感謝するとき、なぜか、仲間の感謝が伝わってくる。
なので、自分の心の世界を変えるアプローチをとれば、周囲も変わる。
このことは、前述した2つめの力「心の世界に働きかける力」のことであり、心の世界を感じられたならば、2つめの力を得ることも決して難しくないと。
他にも、「心の生態系」という概念が書かれていて、ばっくりとは「チームビルディング」のようなこと。マネージャー次第でチームの生産性やモチベーションが変わる。みたいな話し、などなど。
ボリューム的に読みやすいけれど、だいぶ思想寄りの語り口調で好き嫌いが分かれるかも。
また、2008年に書かれた少し古い本ということもあり、「今の風潮はお金だよね」みたいな決めな雰囲気もあり、ちょっと違和感を感じる箇所もたまにあるけれど、書かれている内容は、ここ最近(僕が見る範囲の)の本と本質的には同じこととが書かれていて、いつの時代も悩みは一緒なのだな。
最初の「何のために仕事をするのか?」の返答、「自分のことを必要だと思ってもらうため」について。
これには能力が必要だし、すなわち仕事をいただき続けることだし、成長し続けないとこのことは成し得ない。何となく整理の視点をいただけた気がしました。