地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」:読書メモ
こちらも薦めていただいた本。
表題だけを見た印象は「よくあるノウハウ本?」でしたが、全然そんなことは無く、物事の考え方や本質を捉えるために必要なことが詰め込まれている本でした。
また読み返すその日のために、「多分このあたりで躓いて見返すだろうな」と未来の自分のしくじりを想像しながら内容をピックアップして残していきたいと思います。
※前回より対象とする範囲が広くまだまだ理解できていないところも多く、冗長なメモに...。前半は主にフェルミ推定の説明及び地頭力との関連性。後半が地頭力について(特に、地頭力特有の3つ思考力。仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力について)のメモ。
「地頭力」とは、「考える力」のベースとなる知的能力。膨大な情報を選別して付加価値をつける創造的な力のこと
最近、検索した情報をコピペしてレポートにするといった「コピペ思考」が散見される。著者曰く、これはネットの情報に依存し、思考停止状態になっていることの危機の一例である。
このように思考停止状態になる人がいる一方で、考える力を身につけた人たちは、その膨大な情報を駆使して力を発揮できる可能性がある。
本書では、この基本的な「考える力」のベースとなる知的能力を、「地頭力」と定義している。
そもそも「頭の良さ」には3種類ある。「記憶力」「対人感性力」「地頭力」
よく言われる「頭の良さ」。これには3種類あり、本書のテーマである「地頭力」はそのうちの1つであり、今後より重要になる力。
- 物知り、知識が豊富(記憶力)
- 機転が利く(対人感性力)
- 地頭がいい
1. 物知り、知識が豊富(記憶力)
多種多様な知識を有していることは何においても最大の強みの一つ。
但し、環境変化の大きい昨今においては、断片的な知識を豊富に有しているだけではビジネスの場を乗り切っていくのは難しい。
難しい理由は、大きく3つ。
1つめは、インターネットの発達で情報入手が容易になり、専門家と一般人との情報量の差がなくなってきているため。
2つめは、世の中の動きが早くなり、情報の陳腐化が激しいため(その道の専門家になっても、それで一生食べていける時代ではない)。
3つめは、過去の経験そのものが未来の成功を即保証する時代ではなくなっているため(ex.ロングテール現象は顧客分析の定番であったパレートの法則が当てはまらなくなっていることを表している)。
2. 機転が利く(対人感性力)
所謂「場の空気が読める」人。ものごとを円滑に進めるために必須の能力。
特に「人を動かす」ためには不可欠な能力であり、前出の「記憶力」と比較すると、陳腐化することはほとんどない。
3. 地頭がいい
基本的には陳腐化しない力。
地頭力のある人材は潜在能力が高く、どんな分野に取り組んでも業務知識の習得が早くて高い。
「地頭力」の構成要素(3つの思考力、直観力、知的好奇心)
大きくは3つの要素で成り立っている。
まずは問題解決に対する知的好奇心がすべての基本にある。
次に地頭力のベースになるのが論理思考力と直観力。論理的思考力とは、事象間を道筋立てて考える力。これに加えて、「ひらめき」を伴う右脳的思考或いはアートともいえる直観力が、地頭力には必ず必要。
その上で、「地頭力」固有の要素が、以下3つ。
①「結論から考える」仮説思考力
②「全体から考える」フレームワーク思考
③「単純に考える」抽象化思考力
※ それぞれの詳細は後述
「地頭力」を鍛えるメリット=生産性の向上や、すべての行動パターンに影響する「思考回路」が変わること
時代の変化により、知的能力に占める重要性が知識力から地頭力に変わっているのは前述の通り。具体的なメリットは以下の通り。
圧倒的に生産性が上がる
仮説思考力を身につけると、「結論から」考えることで最終目的に最も効率的な方法でたどり着ける(ex.最終目的を意識することで、結論の出ない無駄な会議を繰り返す...ということがなくなる)。
また、「全体から」考えることによって、コミュニケーションにおける誤解や後戻りを最小化できる。部分から考えると、個人の思い込みや思考の偏りが排除できず、途中で認識齟齬が発生しコミュニケーションの後戻りが発生してしまう。
最後に、「単純に」考えることで、意思統一が図りやすくなり、少ない知識を様々な範囲に応用し、新しいアイデアの創造や効率化などを飛躍的に図ることができる。
思考回路としての重要性
地頭力というのは、ある意味人間の行動パターンの基本となる「思考回路」。これを変えるとすべての行動パターンが変わってくるため、単なる行動を一つ一つ変えるのとはインパクトの大きさが全く違う。
「地頭力」を鍛えるツール『フェルミ推定』、その例題と4つの解法プロセス
『フェルミ推定』とは、つかみどころのない物理量を短時間で概算すること。「あたり」をつけること。
質問には「正解がない」ため、回答者には純粋に考えるプロセス(考える力)が問われる。
例えば、「日本全国に電柱は何本あるか?」という問題については以下のような解法プロセスがある。
① アプローチ設定
どうすれば電柱の数が算出できるのか?切り口を考える。
この場合、「単位面積当たりの電柱の本数を市街地と郊外に分けて算出する」という切り口(他にも、「単位世帯当たりの本数で考える」等も妥当な切り口)。
② モデル分解
対象をモデル化して、単純な要素に分解する。
肝は、いかにうまい切り口で分解し、推測可能かつ時間内で計算できる適当な粒度に因数分解するかがポイント。
この場合のポイントは、住宅の密集する市街地と郊外とでは電柱の密度が違うこと。各エリアの「単位面積当たりの本数」と各々の「総面積」が分かれば、それらの積により総本数が算出できる。
③ 計算実行
まず、単位面積あたりの本数について、市街地を「50平方メートル四方に1本」、郊外を「200平方メートル四方に1本」と、2つの代表値にモデル化。
これを基にすると、1平方キロメートルあたりの本数は市街地で400本、郊外が20本となる。
次に各々の総面積だが、これを因数分解すると「日本の総面積」×「各々の占有率」に。日本の総面積は約38万平方キロメートル。占有率については2割程度が市街地と想定。
これらの数値を基に総本数を計算すると、添付の通り3,000万本と算出できる。
④ 現実性検証
ここまででひとまず結果がでるが、現実のデータが入手可能な場合には概算結果がどの程度現実に近いかチェックができる。
『フェルミ推定』と「地頭力」との関連(3つの思考力が解法プロセスでどう必要とされ、この力をどう鍛えるか)
地頭力固有の要素である、以下3つの思考力。これらが検討プロセスの中でどう必要とされ、『フェルミ推定』の中でどう鍛えられるのか。
①「結論から考える」仮説思考力
②「全体から考える」フレームワーク思考
③「単純に考える」抽象化思考力
①「結論から考える」仮説思考力をいかにして鍛えるか?
仮説思考とは、今ある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し、常にそれを最終目的地として強く意識して、情報の精度を上げながら検証を繰り返して仮説を修正しつつ最終結論に至る思考パターンのこと。
『フェルミ推定』の中でこの力を鍛えるポイントは3つ。
- どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢
- 前提条件を設定して先に進む力
- 時間を決めてとにかく結論を出す力
1つめ、情報が少ないから算出が難しいと考えてしまうと、その瞬間にゲームオーバー。使える情報は頭の中にある情報だけだが、その情報で「とにかく仮説を立てる」ことが必要。追加情報を収集するにしても「この情報があれば結果が出るはず」という仮説ありきで情報収集を開始すべき。
2つめは、「先に進むために前提条件を決める」能力。例えば、「電柱の定義は?」といった疑問にぶつかってしまうと時間切れになってしまう。
3つめは、時間を区切って何が何でも答えを出す「タイムボックス」の考え方。仮説思考は「スピード重視」。
②「全体から考える」フレームワーク思考をいかにして鍛えるか?
フレームワーク思考とは、大きく「対象とする課題の全体像を高所から俯瞰する全体俯瞰力(ビッグピクチャーシンキング)」と、「とらえた全体像を最適の切り口で切断し、断面をさらに分解する分解力」とで構成される。
さらに「分解力」は、大きく「分類」(足し算の分解:狭義の「フレームワーク」)と、「因数分解」(掛け算の分解)とに分けられる。
『フェルミ推定』におけるアプローチ設定からモデル分解に至るまでのプロセスはフレーム思考そのもので、ポイントは5つ。
1つめの視点移動について。
全体像をとらえた後で部分像へ「ズームイン」の視点移動で考えるが、視点の低い人はまず身の回りのこと、あるいは「とっつきやすい」ところから入って全体をみる「ズームアウト」的な視点の移動をとってしまう。
電柱の例でいうと、まず全国にある電柱を市街地・郊外で見るといった全体の俯瞰から始めるべきだが、これが苦手な人はいきなり自分の近所から具体的な計算に取り掛かってしまう。本来ははじめに自分の知っている地域は全体の中でどういう位置付けか(市街地か郊外か等)を決めてから計算に入るのが全体俯瞰の視点。
2つめの切断の切り口の選択。
いくつかの可能性(本書で言う「オプション」)を要し、その後利用できる情報の確からしさや妥当性によって最適なものを選択していく。
電柱では、地理的視点のアプローチ(単位面積あたりの本数等)と、電力・通信機能共有視点のアプローチ(世帯当たりの本数)などが考えられ、このように複数の可能性を挙げることが重要。
3つめの分類(足し算の分解)。
全体をもれなくダブりなく適切なセグメントに分けることが求められ、これを効率的に行うためのツールが3Cや4P等のフレームワーク。
4つめの因数分解(掛け算の分解)。
電柱の例のように、複雑な全体像をいかに取り扱いやすいサブ要素に展開できる力が必要(市街地と郊外とを分けたうえで、それぞれの「電柱の密度が違うこと」に着目)。
5つめのボトルネック思考。
「これ以上細かく考える必要はない」線を引くこと。詳細に計算できるからと言って、例えば電柱の例では三桁以上算出することに意味はないことを認識すること。
③「単純に考える」抽象化思考力をいかにして鍛えるか?
抽象化思考力とは、対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」した後に、抽象レベルで一般解を導き出して、それを再び具体化して個別解を導く3ステップによる思考パターンのこと。これを『フェルミ推定』で鍛えるためのキーワードは3つ。
- モデル化。
- 枝葉の切り捨て。
- アナロジー(類推:あるい事象を類似のものから説明すること)。
前出の通り、電柱の市街地・郊外の電柱密度を200m×200mの極端な形にモデル化したり、日本列島の面積を200km×1,500kmの長方形にモデル化する等。
▽ おさらい
※ フェルミ推定の4つの解法プロセス全体を通して、地頭力の3つの構成要素が必要であり、プロセスごとに重要度のグラデーションがある。
以降では、「地頭力」の各構成要素を、より詳細に解説。
「結論から考える」仮説思考力(最も効率的に目標に到達するために)
仮説思考とは
- 今ある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し
- 常にそれを最終目的地として強く意識して
- 情報の精度を上げながら検証を繰り返して仮説を修正しつつ最終結論に至る思考パターンのこと
ポイントは
- どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢
- 前提条件を設定して先に進む力
- 時間を決めてとにかく結論を出す力
我々は限られた時間の中で最善の結論を効率的に出す必要がある。
課題は、曖昧でつかみどころのないことや複雑に事象が絡み合って一筋縄では解決しないことだらけ。種々の条件の組み合わせを全て試すことができないため、仮説思考が重要になる。
仮説思考の考え方、概念図は以下の通り。
どんなに少ない情報からでも仮説を立てることが重要で、「情報がないと仮説が立てられない」という反論があるが、多くの場合それは間違っている。
電柱の例でもあった通り、日々生活している中で何かしらの情報は得ている。多くの場合、持っている情報を使おうという姿勢が無い。
仮説を立てる上では、前提条件を設定して前に進む力も必要で、これは「課題を定義すること」と言い換えることもできる。
実は課題解決をするうえでこれが一番難易度が高い行為で、課題の線引き、つまり課題がどこからどこまでかを明確に定義していく必要がある(明確に定義された課題はほとんどなく、どこからどこまでが課題なのか?本当にそれが課題なのかもわからないものが多い)。
仮説思考では限られた時間で答えを出す「タイムボックス」の考え方も重要で、「どのくらいでできそうか?」ではなく「この納期でどこまでできるか?」という発想が根本にある。
そんな仮説思考にも落とし穴が2つある。
1つめは、はじめの仮設にこだわりすぎること。思い込みで視野狭窄となり、偏ったものの見方になってしまう可能性がある。仮説思考で考えるというのは、当初の仮説を常に更新していく姿勢とセットであることを忘れてはいけない。
2つめは、深掘りが甘くなるリスク。仮説で考えると「一見もっともらしい結論」に早期にたどり着けるが、そこで十分な検証を行わないうちに安心してしまうと、表層的な結論になってしまう可能性がある。十分な根拠をそろえた仮説検証を実行していくことが重要。
「全体から考える」フレームワーク思考(思考の癖を取り払い、コミュニケーションを効率的に進めるとともに、ゼロベースで斬新な発想を生み出すために)
構成要素は大きく2つ
- 対象とする課題の全体像を高所から俯瞰する、全体俯瞰力(ビッグピクチャーシンキング)
- 捉えた全体像を最適の切り口で切断し、断面をさらに分解する分解力(分解力はさらに2つに分けられる)
- 分類(足し算)
- 因数分解(掛け算)
ポイントは5つ(※前述の通り)
『フェルミ推定』におけるアプローチ設定からモデル分解に至るまでのプロセスはフレーム思考そのもので、ポイントは5つ。
1. 全体を高所から俯瞰する
地頭力の中でもこの全体俯瞰力の占める割合は大きい。
課題に着目する時、一歩引いて上から見る=客観的な視点で対象の課題を全体俯瞰することで、思い込みや自分の思考の癖を取り払うようにする(※本書で言う「絶対座標軸」のものの見方)。
2. 最適の切り口で切断する
対象とする課題が最も顕著に見える断面を選択すること。いい切り口とは、対象の特徴を最適にとらえることができる視点・視座のこと。
いい切り口の仕方で、次のステップ「分類」の成否が決まる(切り取り方は経験や試行錯誤を積み上げることでできるようになるものであり、これがフレームワーク思考の肝)。
3. 分類とは「足し算の分解」
分類とは「特性に応じた場合分け」で、分類した結果を足し算するともとの全体に戻らなければいけない。注意すべきはMECEであることと、分類の単位は全て同じ粒度であること。
「もれなくダブりない」分類をするために便利なのが、狭義のフレームワーク。
「Aである」「Aではない」という対立概念でのに分割。
一つの尺度をいくつかの程度で区切る数直線型。
順次的なプロセスに従った順序型。
複数の並行な選択肢を並べた単純分類型。
複数の視点や座標軸によって分類する異視点型。
狭義のフレームワークは、項目を抽出した後にその項目に従って分類用の箱を考えるのではなく、「箱を別に考える」ということ。
分類結果から箱、つまり分類の集計単位を考えると、どうしても思考の癖がそのまま反映されてしまい、もれがあって粒度の合わない分類になってしまう(本書で紹介されている、「KJ法の限界」等)。
4. 因数分解とは「掛け算の分解」
要素ごとのメカニズムを解明して、問題解決をはかる行為。
対象要素に関する因果関係をより深掘りして、何がキーとなる要因か、どこが本当のボトルネックになっているのか、何をするとどういう効果が表れるのかを紐解いていく。
電柱の例で言うと「単位面積あたりの本数」×「面積」、或いは「単位世帯当たりの本数」×「世帯数」といった分解。
他にも、例えば「売上」。「単価」×「数量」を因数分解すると、「単価」=「定価」×「1-割引率」と、「数量」=「市場規模」×「市場シェア」に分けることができ、各員数別の以下のような施策が検討でき、有効な施策を深掘りすることができる。
- 付加価値に合わせて定価を引き上げる
- 割引を最小化する
- 市場を活性化させて市場そのものを大きくする
- 競合のシェアを奪って市場シェアをあげる ...etc
さらに因数分解のビジネスへの応用として、「順次的なプロセスを経ながらアウトプットの量が変化していく」事象の分析が挙げられる。
下図は「ある入力から一定のスクリーニングプロセスを経て最終出力に至る」家庭の因数分解の例。
全体の転換率を向上させるために、プロセスをサブプロセスに分解して、各々の、あるいは一番インパクトの大きいサブプロセスの転換率を向上させることが有効で、そうした施策を考えるうでこういった考え方が有効。
5. 全体最適をボトルネックから考える「ボトルネック思考」
フレームワーク思考の締めくくり、前ステップまで分解した各要素を再び全体俯瞰して、全体の中でのボトルネックを考える。
全体のボトルネックを発見し、そこを改善することによって全体パフォーマンスを改善し、それ以外の部分に取り組むのは基本的に労力はかかるが全体に影響はないこととみる考え方。
全体を見て、最終結果の精度を意識せず、自分のわかる箇所だけにこだわって考え続けるのは意味のない行為。
単純に考える「抽象化思考」(一を聞いて十を知るため、本質に迫るために)
抽象化思考とは、対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」その後に一般解を導き出し、それを再び具体化して個別解を導く思考パターンのこと。
キーワードは「モデル化」「枝葉の切り捨て」「アナロジー(類推)」。
▽抽象化の思考パターンについて、前出のフェルミ推定での適用例
モデル(事象の持っている本質的な特性のみを切り出して単純化したもの)化で、問題解決を容易かつ応用範囲の広いものにする
例えば、「ものが落下する」物理的事象には、ものの質量と重力定数が作用する。つまり石が山から落下するのも、机からボールペンが落ちるのも、「質点」と「質量」という形で、物質の大きさや構成要素にかかわらず同じような公式で森羅万象を説明しようとすること。
モデル化力を鍛えるうえで、図式化したり、枝葉を切り捨てたり(事象の本質を見抜き、その本質と関係のない部分を切り捨てる)、大胆にモデル化する(例えば、物理学者は牛を球として考える)ことがポイント。
また、別では情報が多ければ多いほど意思決定に時間がかかったり、本質が見えなくなるという、時間的な意味と質的な意味で意思決定の阻害要因になることがあり、その観点でも「単純に考える」ことの効用は大きい。
アナロジー(類推)で考えることで、対象範囲や応報範囲が飛躍的に広がる
我々が直面している問題は、表面的には違った形に見えるが実はすでに同じ原因やメカニズムでおこっているものがほとんど(自然界における量子力学、相対性理論等、宇宙の森羅万象を説明しようとしていたり、人間の行動(モチベーション)についてはマズローの分析結果で環境が多少変わっても根本原理はそれほど変わるものではないことが論じられている)。
先人の知恵を拝借することで、一から問題を解決しなくても問題解決を図ることが可能であり、これを有効に実施する方法が「アナロジー」。
アナロジーで考えるために排除しなければいけない考え方がある。
それは「自分(の置かれた環境)は特殊である」という思い込み。
客観的に見ると、確かに特殊なことな部分はあるが、部分的には共通している部分が多いことが往々にしてある。
所詮は同じ人間がやっていること。個人を動かす行動原理はそれほど異なっているはずがない。その集合体としての個別の原理原則はシンプルなはず。実際には個別の構成要素の組み合わせで複雑に見えるだけで、本当に特殊なところはわずかである場合がほとんど。
抽象化思考においては、「対象とする課題が特殊である」と考えた途端に思考停止が起きる。そのため、本当に特殊なのかをきちんと切り分けて部分的にでも抽象化・一般化できないか、他の事例や歴史や一般法則から学べることがないかと考えてみることが非常に重要。